【お困りではありませんか? シリーズ 28】『 危険です! 意外な食べ物での中毒 』について を紹介します

↑ ユリ根です。

 

 

■■■ 『 その花の中毒は有名だから知っていても、、、 意外と勘違いしやすい 』 編

 

 

◆◆◆ 意外な食べ物での中毒

 

 

 

■ 今年はまだ暖かくなる日もあるものの、寒さの厳しい日も増えて一歩一歩着実に冬に近づいているのを感じる気候になってきました。

 

 

 

■ 寒い時期に出回る食べ物の一つに『 ゆり根 』があります。

 

 

 

■ ほくほくした独特の触感と味で、好きな食材の一つです。

 

 

 

 

 

■■ そんな\\ ゆり根 //、動物にとっては中毒を引き起こす危険な食べ物であることをご存じでしょうか?

 

 

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日本猫、7歳、雌(避妊済み)

 

 

■ 2日ほど前から急に食欲がなくなり、お水も飲まなくなったとのことで来院されました。

 

 

■ 一般身体検査では異常が確認できず、血液検査やレントゲン検査、エコー検査で健康状態を調べることになりました。

 

 

■ 血液検査では、尿素窒素、クレアチニンが大幅に上昇しており、電解質のリンやカリウムも上昇していました。

 

 

 

■ レントゲンやエコー検査では目立った異常所見はなく、同時に行った尿検査では等張尿であること以外には問題は見つかりませんでした。

 

 

 

 

◆◆ 検査所見から急性腎障害(※)を疑いましたが、それを引き起こす原因が見つからず、改めて飼い主様にお話を聞きなおしました。

 

(※: かつては急性腎不全と呼ばれていましたが、現在は急性腎障害と呼びます)

 

 

 

◆ すると、この猫ちゃんは時々盗み食いをすることがあり、調子を崩す少し前にキッチンに置いていた『 ゆり根 』の一部がかじられていたとのことでした。

 

 

 

 

 

◆◆◆ このことから『 急性腎障害の原因はユリ中毒 』だと判断しました。

 

 

■ この猫ちゃんは点滴と利尿剤の投与を行うことで腎臓の機能が回復し、尿が作れるようになりました。

 

 

■ それに伴って尿素窒素やクレアチニンの値も正常値まで回復して、1週間ほどで無事に退院できました。

 

 

 

◆◆ 猫ちゃんの急性腎障害は生存率がおおよそ50%程度といわれる怖い病気なので、無事に回復できたことは大変うれしいことでした。

 

 

 

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■ 今回の原因となったユリ中毒ですが、その有毒成分は実はわかっていません。

 

 

■ 有毒成分が分からないので有効な解毒剤もありません。

 

 

■ そして、花弁、茎、葉、根、花粉など、ユリのどの部分を食べても中毒を引き起こします。

 

 

 

◆◆ ユリ中毒の症状には以下のようなものがあります。

 

 

 

◆ 基本的には急性腎障害の症状です。

 

・初期:多飲多尿

・進行すると:おしっこが減る、ほとんど出ない

・嘔吐

・食欲不振

・元気がない

 

 

 

◆ ユリに限らず、観葉植物や人の食べ物は動物にとっては毒になるものがたくさんあります。 これらのものを動物が簡単に食べることがないように普段から注意してあげましょう。

 

 

 

獣医師 別府雅彦

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